退職説明会で突きつけられた「老後自立」のサイン

退職前後のお金

こんにちは。
今回は、私が昨年参加した「会社の退職説明会」での体験談を皆さんに共有したいと思います。

「退職説明会」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか? 「長年勤め上げた自分へのご苦労様会のようなもの?」「あとは書類を書けば終わり?」 もしそう思っているとしたら、少し注意が必要かもしれません。

私自身、実際に参加してみて突きつけられたのは、「退職説明会は“終わりの確認”ではなく、過酷で自由な“自立設計の第一歩”である」という冷徹な事実でした。

会社が用意してくれるレールは、この説明会で途切れます。そこから先は、情報を自分で調べ、自分で決断するステージの始まりです。「もっと早く、40代や50代のうちに動いておくべきだった」……。そう痛感した私のリアルな気づきを、これから退職を迎える皆さん、そしてまだ先だと思っている現役世代の皆さんに捧げます。

一番の収穫は「共有」だった

オンライン会場には、同世代の人が数百人。
その中で10人程度のグループになり思い思いの事情やお金、事情を話し合いました。

「一生働くつもりです」「住宅ローンがまだ残っていて不安」「住宅ローンは死ねばチャラだから借り続ける」「親の介護が重なりそう」定年を前にした人たちの“リアルな声”があふれていて、まさに「人生観の共有の場」。
孤独になりがちな退職準備も、こうして人の考え方に触れられるだけで救われる感覚がありました。
人の考えに触れることは非常にいいこでした

退職説明会は「通過点」でしかないという現実

多くの人が抱く退職説明会のイメージは、おそらく「手厚いサポート」ではないでしょうか。「プロのFPが一人ひとりの人生設計を相談に乗ってくれる」「老後の収支を完璧にシミュレーションしてくれる」……。

しかし、現実はもっと事務的です。 私の場合はオンライン形式で、参加者は100名ほど。丸一日かけて行われましたが(勤務扱いになったのは幸いでした)、その内容は膨大な資料と、制度の表面的な説明に終始しました。

  • 語られるのは「仕組み」だけ: 退職金(DB、DC、管理職ポイント)の計算方法など。
  • 投資の話は「抽象的」: 外部講師による一般的な資産運用の話が少しある程度。
  • 個別対応は「なし」: 税金の損得や健保の選択など、個人の家計に踏み込んだアドバイスは期待できません。

つまり、会社が教えてくれるのは「うちの会社を辞めるための手続き」であって、「あなたがこれからどう生きていくか」という出口戦略ではないのです。この時点で、「会社に任せておけば大丈夫」という幻想は捨てなければならないと悟りました。

自分で動くしかない。疲弊する「調査フェーズ」の正体

説明会を終えた後、私を待っていたのは「何を、いつまでに、どうすればいいのか?」という問いの嵐でした。制度は複雑で、一つひとつを自分で調べ上げる作業は、正直言って疲弊します。

私が実際に直面し、これから皆さんが必ず通ることになる「7つの調査項目」を整理しました。

① 公的年金の受給戦略と「加給年金」の確認

退職時期や働き方によって、将来受け取る年金額が大きく変わります。 

「ねんきん定期便」での試算: 日本年金機構のねんきんネットでおよその額を確認しておく
ねんきんネットで年金受給した時の所得税、介護保険料、国民健康保険料、住民税などおよその額が分かります。

加給年金の対象か: 配偶者との年齢差がある場合、自身が65歳になった時に配偶者が65歳未満であれば「加給年金(家族手当のようなもの)」が加算されます。受給条件をあらかじめ確認しておきましょう。

② 住民税と介護保険料の「時間差攻撃」

退職直後は、収入がない中で前年度の所得に基づいた大きな支出が発生します。

住民税の徴収方法: 退職月によって、残額を一括徴収されるか、自分で納付書で払う(普通徴収)かが変わります。特に6月以降の支払額は前年の年収に基づき高額になるため、予備費の確保が必要です。
介護保険料: 40歳以上の場合、健康保険に合算されていた介護保険料を単独で納めることになります。

③ 雇用保険(失業給付)の戦略的活用「自己都合」か「定年退職」か、あるいは「再雇用(賃金低下)」かによって給付内容が異なります。 

失業手当の受給期間: 2026年現在は、リスキリング(学び直し)に取り組む場合の給付制限期間の短縮など、制度が柔軟になっています。
高年齢雇用継続給付: 60歳以降、再雇用で賃金が60%未満に低下する場合、ハローワークから給付金が出る可能性があります。

④ 医療費の「出口戦略」:任意継続 vs 国民健康保険

健康保険の切り替え先(任意継続、国民健康保険、家族の扶養)を決める際、以下の点も考慮してください。
付加給付の有無: 企業の健保組合によっては、独自の「付加給付」があり、高額療養費の上限が国保より低い(自己負担が少なくて済む)場合があります。

⑤ 資産の「器」の整理(企業型DC、退職金)

iDeCoへの移換: 企業型DC(確定拠出年金)がある人は要注意です。退職後に手続きをしないと、資産が強制的に現金化されたり、手数料だけ引かれる「塩漬け状態」になることも。
iDeCoへの移換するのか企業形DCを任意継続するのかルールの確認が必要です。
新NISAの活用: 退職金を受け取った際、新NISAの「成長投資枠」にどう配分するか。投資の出口戦略もここからが本番です。

⑥ 「会社とのつながり」の棚卸し

社内預金・持株会の精算: 意外と忘れがちなのが、社内預金や持株会の解約手続きです。

クレジットカード・各種ローン: 会社提携のカードやローンは、退職後に条件が悪化したり、更新できなくなったりする場合があるため、在職中にメインカードの整理やローンの借り換えを検討が必要です。

連絡先とデータの整理: 仕事上の連絡先だけでなく、退職後も付き合いたい相手との個人連絡先の交換や、私的な写真・データのバックアップを済ませます。

⑦ 夫婦で再雇用か完全退職か、自分たちの“老後ビジョン”を夫婦で共有する

より具体的にお互いにバケットリストを作成、共有して、それを実現するにはどうするか

24時間の過ごし方: 「夫婦がずっと家にいる」家にいることのストレス(いわゆる定年離婚リスク)を避けるため、お互いの趣味や一人の時間をどう確保するかを具体的に話し合っておくことをお勧めします。事務的な手続き以上に、感情面のすり合わせが必要になります。これが最も重要かもしれません。

つまり、ここからが本当の“退職設計”の始まりと感じました

退職設計とは「孤独な決断」を他人任せにしないこと

退職説明会で語られるのは、あくまで「仕組み」です。 「いつまでに、どの窓口へ行けばいいか」は会社が教えてくれます。しかし、その仕組みを使って「どんな人生を描くか」という戦略については、誰も口を挟んでくれません

健康を優先してペースを落とすのか、資産を守るために再雇用を選ぶのか、家族との時間を軸に住まいを整えるのか。

これらはすべて、自分で優先順位を決める「孤独な決断」です。点として散らばっている健康、家族、資産、仕事を、もう一度自分の手で一本の線につなぎ直す。その地味で、それでいてヒリつくような作業の積み重ねこそが、本当の退職設計なのだと感じました。

結論:50代は「出口」を見据えた「スタート」の時期

退職説明会を終えた今、私が確信していることがあります。 「この説明会は、退職直前に聞くのでは遅すぎる」ということです。

理想を言えば、45歳から50歳くらいの、ゴールまで10〜15年のゆとりがある時期に一度受けておくべきです。 なぜなら、50代ならまだ間に合うからです。

  • 副業に挑戦し、会社以外の収入源を作る。
  • サードプレイス(会社以外の居場所)を見つける。
  • 不足している資産を、新NISAなどで積み増す。

10年先の自分をイメージして動く一歩が、60歳以降の選択肢を劇的に増やします。「会社が決めた退職」を待つのではなく、「自分が選んだ新しい始まり」にするための準備期間。
それが50代という黄金期なのです。

最後に

退職説明会は、会社に委ねていたレールを降り、自分の足で歩き出すための「スタートライン」です。 制度を自ら調べ、一つひとつを自分の目で確認し、納得して選んでいく。そんな小さな「自分軸の行動」の積み重ねが、きっと自由で彩り豊かな人生へとつながっていくはずです。

説明会で見つけた小さな気づきを大切に、私も一歩ずつ進んでいきたいと思います。 皆さんの「新しい始まり」が、素晴らしいものになりますように。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました