退職金の使い方で人生が変わる——何歳からでもできる「セルフFP」のすすめ

退職前後のお金

経済的自由になるには「自分自身のFP」になる

退職金は、あなたの労働の結晶です。
そしてこのお金を**「どう使うか」ではなく「どう活かすか」**で、老後の10年、20年の人生が大きく変わります。

銀行任せでも、他人任せでもありません。
資産を数字で理解し、人生を設計する

それが“セルフ・ファイナンシャル・プランニング(セルフFP)”です。

ご自身が自分のFPになることで
退職金を最も有効に使い、老後の安心と自由を手に入れる人生の中でも重要な選択です

退職金の使い方で人生が変わる理由

こんにちは。
“退職金”——良い響きですね。

私はあと2年で退職を予定しています。
我々の世代にとって、退職金としてまとまったお金をもらえるのは喜ばしいことです。
しかし同時に、それを狙う業者、退職後の資金管理、投資の誘惑など、さまざまな落とし穴もあります。

退職金をきっかけに投資を始める人も増えていますが、
この時期からの資産管理(パーソナルファイナンス)は、老後の三本柱のひとつといってもいいほど重要です。

今回は、退職を控える私自身が、どのようにセルフFPを意識しているかを中心にお話しします。

「セルフFP」とは何か?

かつては「退職金で家が建つ」と言われた時代もありました。
しかし今は、生活費や老後資金の補填でほとんど消えてしまうのが現実です。

退職金は、多くのサラリーマンにとって人生で最後の大きな収入
その使い方ひとつで、老後の安心度はまったく違ってきます。

そして何より大切なのは、「感覚」ではなく「数字」で自分の人生を設計すること。
シミュレーションは、数字で安心を得る作業です。

どんぶり勘定ではなく、具体的に「いくら必要で、いくら入ってくるのか」を可視化することで、不安が自信に変わっていきます。

退職金の平均額はどのくらい?【職業別データ】

まず気になるのは、「自分の退職金って多いの?少ないの?」という点でしょう。

厚生労働省の調査(令和5年度)によると、
大学・大学院卒で定年まで勤めた人の平均退職金は約1,800万円。
大企業の退職金(勤続35〜40年)は平均2,000〜2,400万円前後
中小企業では1,000万円台前半がボリュームゾーンです。
ただし、職種や企業規模によって大きく異なります。

職業・業種平均退職金(定年時)備考
製造業(大企業)約2,300万円終身雇用が根強い業種
サービス業約1,200万円企業による差が大きい
公務員約2,200万円安定した支給水準
中小企業約1,000万円前後経営状況により変動
医療・福祉関係約1,500万円非正規雇用では減少傾向

平均額を見ると、想像以上に「差」が大きいですよね。
特に中小企業では1,000万円を切るケースも珍しくなく、「退職金=老後安泰」とは言い切れません。

一般的な使い道:住宅ローン・教育費で消える退職金

金融広報中央委員会の調査によると、
60歳時点で住宅ローンを完済していない世帯は約4割。
退職金の多くがローン返済に充てられています。

また、大学・専門学校に通う子どもの教育費も年間100万円以上。
「子どもが独立する前に親がリタイアする」という時期のズレが家計を圧迫しています。

つまり、退職金が老後資金として残らない人が多いのです。
だからこそ、「受け取る前からどう使うか」の設計が重要になります。

銀行の窓口には行くな!運用手数料の罠

退職後、銀行や証券会社、保険会社から「運用のご提案」が届きます。
しかし、その多くは高コストの投資信託・外貨商品・保険です。

たとえば手数料2%、信託報酬1.5%の商品なら、
実質利回りが年4%でも、半分以上が手数料で消えます。

営業担当者はあなたの味方ではなく、「販売手数料で利益を得る側」。
本当に自分の資産を守るなら、

ネット証券(SBI・楽天など)で手数料0.1%以下のインデックス投資が鉄板戦略です。

※ただし、初心者はいきなり一括投資せず、少額から長期で行いましょう。

資産管理:「セルフFP」になる時代

退職後は、誰もあなたのお金を守ってくれません。
だからこそ、セルフFPとして生きる意識が必要です。

まずやるべきは「支出の把握」

退職後の家計は現役時代と違い、収入は減っても支出(特に医療・生活費)は増えがち。

退職後の家計は、現役時代とは全く違います。
収入が減るのに、生活費や医療費は増える傾向。
以下の3つをまず明確にしましょう。

  1. 固定費(住宅・通信・保険など)
  2. 変動費(食費・趣味・交際費)
  3. 特別費(旅行・車・孫への支援など)

これを月単位・年単位で整理することで、
「あと何年安心して暮らせるか」が数字で見えてきます。

おすすめは家計簿アプリマネーフォワードME
銀行口座・カードを連携すれば自動で支出が把握できます。

老後の簡単なシミュレーションのやり方

老後の資金計画を立てるには、数字で確認するシミュレーションが欠かせません。

ステップ①:支出を算出

月の支出を家計簿アプリから算出×12ヶ月×25年(60~85歳まで生きると仮定)
例えば月の支出(生活費)35万×12ヶ月×25年=1億500万円
家のリフォーム代=300~1000万円
車の買い替え代=200~400万円
老後の医療費=500~1000万円(1人分)
老後の介護費=500~1000万円(1人分)

85歳までの支出=生活費1億500万+リフォーム代(300万)+車代(200万)+老後の医療費+介護費(1000万 2人分)=支出1億3000万円

ステップ②:収入を算出

・公的年金(夫婦2人で月25万×12ヶ月×20年(65~85歳で受け取り)6000万円
・退職金1500万円
・iDeCo、確定拠出年金 1500万円
・預貯金(株式)2000万円
 =収入1億1,000万円
(分かり易くするため、計算には税金を含まれていません、年金は手取りで約✖️0,8になります)

ステップ③ トータル収支

支出1億3,000万円 − 収入1億1,000万円 = マイナス2,000万円前後

このマイナスをどう埋めるか。
65歳まで働く?支出を減らす?リフォームを削る?車購入は中古車にするのか?
選択によって未来は変わります。
ここで退職金の活かし方が大きなカギになるのです。

まずは確認してみましょう
・公的年金を確認する【ねんきんネット】で年金額を確認する
・会社に確認して退職金、確定拠出年金のおよその額を確認する
・月の支出、年間の支出を正確に確認する
(マネーフォワードなどアプリを使うことをおすすめします)
・夫婦でライフプランの考え方を確認する
(老後をどの様な生活を送りたいか、収支額をみてお互いの意識の方向性を確認する)

退職金を「年金型」で受け取るか「一時金」で受け取るか?

一時金の特徴

  • 退職所得控除で税金が非常に安い
  • ローン返済などに柔軟に使える
  • 使いすぎるリスク

勤続40年なら控除額は2,200万円(=70万円×(40−20)+800万円)
退職金が2,200万円以内なら税金ゼロです。

年金型の特徴

  • 定期収入で安心感がある
  • 終身型なら長寿リスクに対応
  • ただし社会保険料が上がる場合もあり

つまり、「税金+保険料」をトータルで見て判断することが重要です。
また、住民税非課税世帯を意識する方も企業年金の額にも注意が必要です

退職金の出口戦略:税金の比較とiDeCo併用

ほとんどの方は一時金を退職金控除内で受け取り、年金とバランスして受け取ること選択されます

退職金とiDeCoを別々に受け取れる場合、受け取る年を分けると節税効果が大きいことがあります。

同じ年に受け取ると控除が重複せず、損をするケースが有る。
受け取りを1年ずらすだけで、50万円以上差が出ることもあります。

退職金控除は全てうめるのは原則です

退職金控除とは退職金を一時金(一括)で受け取る場合に適用されるのが「退職所得控除」です。これは、長年の勤続に対するねぎらいとして、税制上非常に優遇された制度です。

退職金控除額の計算方法(数字で解説!)

控除額は勤続年数によって決まります。勤続年数1年未満の端数は1年に切り上げます。

勤続年数20年以下の場合
40万円 × 勤続年数
ポイント: 計算結果が80万円未満でも、最低80万円は控除されます。
例: 勤続10年なら 40万円 × 10年 = 400万円

勤続年数20年超の場合
800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
例: 勤続30年なら 800万円 + 70万円× (30年 -20年)= 1,500万円

課税退職所得金額の計算
退職所得控除を引いた残りの金額は、さらに「1/2」が課税対象となります。
課税退職所得金額 = (退職金の総額 - 退職所得控除額) × 1/2
この優遇措置により、多くのケースで税負担が大幅に軽減されます。

 税率と控除額

課税退職所得金額が算出された後、それに対して所得税住民税がかかります。 

所得税

所得税は、課税退職所得金額に応じて累進課税で計算されます。以下の速算表に基づき、税率と控除額(税額控除)が適用されます(令和7年分)。
なお、実際には算出した所得税額に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も加算されます。

課税退職所得金額(A) 税率 (B)控除額 (C)
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

退職金とiDeCoとを「分けてもらえる」なら?税金の比較

もし会社の制度で、退職金とiDeCoを別々に受け取れるなら、
受け取り時期をズラすことが最大の節税策になる事も。

例)33年勤めた会社を退職、退職金2800万円、iDeCo 800万円
(一括で受け取る時の税金)
退職控除額=(33-20)×70万円+800万円=1710万円
課税退職所得金額 3600万円ー1710万円=1890万円×1/2=945万円→税率33%
所得税額は(9,450,000円×33%-1,536,000円【控除額】)×1.02=1,614,150円

(分けて受け取る時の税金)
退職直後
課税退職所得金額 2800万円-1710万円=1090万円×1/2=545万円→税率20%
所得税額は(5,450,000円×20%-427,500円【控除額】)×1.02=675,750円
退職2年目(iDeCo)
課税退職所得金額 800万円×1/2=400万円→税率20%
(退職金控除は1年目で使っているため、2年目では使えない)
所得税額は(4,000,000×20%-427,500円【控除額】)×1.02=379,950円
675,750円+379,950円=1,055,700円

一括と分けて受け取る時の差額
1,614,150ー1,055,700=558,450円の差になります
56万円も違ってきます

但し、iDeCoの出口戦略はケースバイケースで40歳頃から積立を開始して
20年後の退職金との兼ね合いなど非常に複雑です
iDeCoは掛金に税金がかからないので優良な投資商品は有るけども
何十年も資金拘束されることから、私はおすすめしません
(それよりNISAの方が自由度が有り単純で好きです、iDeCoの難しさも次回作で

嫁にいくら渡す?旦那にどれだけ渡す?

退職金は「家族の共有財産」。
とはいえ、実際に受け取るのは本人です。

理想は家計を見える化し、数字で話し合うこと。
退職金2,000万円なら、
共通資金1,600万円+各自200万円ずつが目安では
(パートナーに渡した後は絶対に使い道には感想・評価を言わないこと!)

私の経験では、家計を把握していないパートナーに退職金の話をしても、
「分からない」「多い方がいい」と曖昧な反応が返ってくることが多いです。

お互いの理解を深めるためには、
一度で終わらせず、何度も時間をかけて話し合うことが大切です。

私の考え・私のやり方

  • 住宅ローン・教育費は退職までに終わらせる(確保する)
  • 両親の老後は事前に話し合い、自分たちの援助が不要な形に整える
  • 退職前からNISAなどで長期的に積み立てる
  • 退職金は「60歳からの時間の投資」に使う

60歳の100万円は「これからの時間を豊かにするお金」
一方、80歳の100万円は「安心して暮らすためのお金」

同じ金額でも、年齢によって意味が変わります。
だからこそ、若いうちに“経験に使う勇気”を持つことも大切です。

お金は、時間と体験に使ってこそ“人生の幸福感”を高めます
ただし、退職金は今も昔も「老後資金」であることを忘れずに
時間をかけて大切に使うことをおすすめします。

まとめ:退職金は「使う」より「活かす」

退職金はあなたの人生そのものです。
焦らず、惑わされず、冷静に

銀行や他人任せにせず、
自分の資産を数字で理解して「自分自身のFP=セルフFP」になること。

それが、老後の安心と自由を生み出す——
セルフ・ファイナンシャル・プランニングの第一歩です。

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