こんにちは、西風スマイルです。
58歳、サラリーマン生活もかれこれ40年。60歳での早期リタイア「FIRA60」を目指しながら、お金・時間・健康・好奇心・社会資本という「五つの富」について、あれこれ考えています。
今年も、人間ドックを受診してきました。
私の会社では、35歳以上は健康診断の代わりに人間ドックを受けられます。さらに現場担当の私は、会社規定で半年に1回の健康診断も義務付けられています。つまり、体のチェックだけは、嫌でも年2回。
わが家では、人間ドックは夫婦で行くのが恒例です。ホテルのランチ付きのコースで、コストは少し上がりますが、正直なところ、検査よりランチが目当てです。最近は人気のクリニックだと、予約を取るのも一苦労で。
でも、これも退職すれば、会社の補助は使えなくなります。
費用は、爆上がり。
そこで今日は「人間ドックと健康診断」をテーマに、退職を目前にした私の考え方を書いていきます。
30代は「実験」、50代は「証拠」
30代後半の頃は、面白半分で人間ドックを受けていました。どんな行動をすれば数値に影響するのか試してみたり、検診前の1ヶ月だけ体重を落としてみたり。今思えば、健康のためというより、ゲーム感覚でした。
50代になると、遊びではなくなります。ランニングが体に与える影響が、数値ではっきり見えるようになりました。前日に過酷なランニングをして検診に行くと、数値が爆上がり。
肝機能が「D判定」になったこともあります(運動による一時的な数値上昇です、念のため)。
そして私は痔持ちなので、便潜血検査ではいつも引っかかります。
これもD判定。大腸カメラにも行かされました。
そんなこんなで60歳を目前にして、感じてきたことがあります。
それは、「数値との付き合い方」です。
人間ドックのメリット・デメリット
法定健診(会社の定期健診)と比べた場合の、人間ドックの特徴を、私なりに整理してみます。
メリットは、やはり「早期発見」です。がんや生活習慣病は、初期には自覚症状がほぼありません。法定健診が10〜15項目程度なのに対し、人間ドックは50項目以上になることも。胃カメラ、腹部エコー、眼底検査まで、全身を網羅的にチェックできます。そして、毎年受けることで「基準値内だけど、去年より悪化している」という経年変化に気づける。私は、これが最大の強みだと思っています。
一方、デメリットは、まず費用。保険適用外の自由診療なので、基本コースでも数万円〜十数万円かかります。会社や健保組合の補助があるうちは、いいのですが(私は、まさにこれです)。それから、バリウムの苦痛、前日からの絶食、丸一日の拘束。
そして、「偽陽性」。
要精密検査と言われて精密検査をしたら、何ともなかった、というケースです。
結果が出るまでの不安と、余計な検査費用・時間は、なかなかのストレスです。
ネットで「人間ドック不要論」が語られる理由
ネットや一部の医師が「人間ドックは意味がない」と主張する背景には、それなりの理由があります。
ひとつは、「過剰診断」の問題。医学の進歩で、非常に小さながんも見つけられるようになりましたが、中には進行が極めて遅く、生涯放置しても命に影響しないがん(潜在がん)もあります。これを見つけたことで、本来しなくてもよかった手術や治療を行い、
かえって生活の質(QOL)を下げてしまうリスクが、指摘されています。
検査自体のリスクも、あります。毎年のCTやバリウムによる医療被曝、胃カメラ・大腸カメラで、極めて稀に臓器を傷つけるリスク(偶発症)。また、すべての検査が「寿命を延ばす」という明確なデータを持っているわけではありません。腫瘍マーカー検査などは、スクリーニングとしては精度が不十分で、不安を煽るだけになるケースもあると言われます。
では、本当に不要かというと、決してそんなことはありません。40代・50代以上の世代、血縁者にがんや心臓病・脳卒中・糖尿病などの病歴がある人、喫煙や飲酒など生活習慣に不安がある人。こうした「リスクが上がる世代や環境にある人」には、受ける価値が高いと思います。
ちなみに私は、少なくとも年齢だけは、文句なしの該当者ですし、母は、食道がんでした。
関連記事:実家の鍵を閉めた日──両親を見送って、私が知ったこと
(両親の最後、医療費のことを書いています、参考になれば幸いです)
私の考え方——コスパで検査を選ぶ
退職を控えて、費用対効果も考えるようになりました。
私が今、「有効」だと考えている検査は、このあたりです。
まず、便潜血検査(2日分)。昔はそれほど重要視していませんでしたが、これは非常にコスパが良い。数千円で、大腸がん・大腸ポリープの危険度がわかります。50代後半には、特に重要です(痔持ちだと判定が濁りやすいのが、難点ですが)。
腹部超音波(エコー)検査。これも、コスパ最強だと思います。肝臓がん、胆のうポリープ、膵臓がん、腎結石など、症状が出にくい内臓を、画像で見られます。
胃の検査は、バリウムより胃カメラ派です。コストは上がりますが、精度は格段に上。それに、バリウムでポリープが見つかると、結局は胃カメラの再診になります。初めから胃カメラにしたほうが、「タイパ」が良いのです。
これに、尿検査(糖尿病・腎臓病のチェック)と血液検査を加えたあたりが、私の考える「絞り込みの軸」。退職後も、続けていくつもりです。
胃カメラと大腸カメラ、前準備の違い
胃カメラは、前日の夕食後から絶食。当日は、カメラを飲み込むまでが大変です。
大腸カメラは、当日に2Lの下剤を飲んで、腸内を空にします。これが辛い。
カメラを入れるときは、そんなに手こずった覚えはないのですが。
余談ですが、胃は筋肉、腸は薄いチューブです。
胃はカメラで多少傷ついても、それほど問題になりませんが、腸は傷つくと、入院を言われることがあります。
大腸の組織採取では、入院になることも多いようです。
今回の結果——2年ぶりの改善
さて、今回の私の結果です。
2年ぶり(中2年)に、数値が改善しました。
改善したのは、鉄分と、呼吸器系。
ほんの少しの改善ですが、それでも2年ぶりの「良化」は、気持ちいいものです。
気持ちだけでなく、実際に体調も良くなっています。
呼吸器系は、肺活量・肺機能の数値が良化。
鉄分は、血清鉄が通常数値に戻りました。
マラソンをする人は鉄分不足になりやすい傾向があり、私は鉄分サプリを常用しています。
逆に、じわじわ悪化……というか横ばいなのが、コレステロール。
悪玉は横ばい微増。
これは35歳ぐらいからずっと横ばいで、それに対して、善玉も増えていません。これはもう、体質かもしれません。
なぜ今年、改善したのか?
なぜだろう?と、考えました。あれだけ食事に注意を払って、日々運動もして、それでも改善しなかったものが、なぜ今年?
初めに思い浮かんだのは、仕事です。仕事のストレスは、さすがにまだあります。でもこの1年、仕事に使っていた時間を少しずつ、ブログ、ランニング、旅行、夫婦の時間に振り替えてきました。
同じ24時間でも、使い方で、体は変わるのかもしれません。
まさに「窓際FIRE」の効能、でしょうか。
関連記事:「隠居するんですか」と言われた7月——ナフサ不足と熱中症、そして自己申告書|キャリアジャーナル④
数値には「前日型」と「数ヶ月型」がある
ここで、30代の「実験」と50代の「証拠」から学んだ、数値の読み方を、まとめておきます。
検診の数値には、大きく分けて二種類あります。前日の行動がモロに出る「前日型」と、前日にどうあがいてもビクともしない、生活習慣の履歴書のような「数ヶ月型」です。
前日型は、直近の食事、飲酒、水分不足、運動、睡眠不足で、1日で劇的に変動します。私が前日の追い込みランで肝機能D判定を食らったのは、まさにこれ。ASTやALTは筋肉にも含まれる酵素なので、激しい運動のあとは「肝機能異常」と出てしまう。よくある落とし穴です。
一方の数ヶ月型は、前日だけ節制しても隠せません。代表がHbA1c。赤血球の寿命が約120日なので、この数値は「過去1〜2ヶ月の血糖の平均」を正確に映します。明日ドックだから今日は甘いものを我慢した!——としても、数ヶ月の不摂生は、すべて見破られるわけです。
表にまとめると、こうなります。
| 数値項目 | 影響の期間 | 特徴・落とし穴 |
| 血糖値(空腹時) | 前日〜当日 | 前夜の食事や当日の飲食で一発で跳ね上がる。10〜12時間の絶食が必要なのはこのため |
| 肝機能(AST・ALT・γ-GTP) | 前日〜数日 | 前日の飲酒や激しい運動で急上昇。筋トレや長距離走のあとの「肝機能異常」は、よくある落とし穴 |
| 中性脂肪(TG) | 前日 | 食事の影響が最大級。前夜の揚げ物やラーメンで、翌朝は簡単に基準値超え |
| 尿の数値 | 前日〜当日 | 水分不足や直前の運動で変わりやすい |
| HbA1c | 過去1〜2ヶ月 | 赤血球の寿命(約120日)ぶんの血糖の平均。前日だけ我慢しても、数ヶ月の不摂生は見破られる |
| 慢性的な肝機能の高値(脂肪肝) | 数ヶ月 | 内臓脂肪の蓄積によるもの。前日絶食では下がらず、数ヶ月の食事改善と有酸素運動でじわじわ下がる |
| 尿酸値(UA) | 数ヶ月〜長年 | 食生活・飲酒・体質の積み重ね。前日ビールを控えても急には下がらない。ゆっくりコントロールする数値 |
この二種類を知っておくと、結果表の読み方が変わります。
前日型の異常は、まず「昨日、何をしたか」を思い出す。
数ヶ月型の異常は、ごまかしの効かない生活習慣のサインとして、真剣に受け止める。
数値が「何を語っているのか」が、クリアになるのです。
ちなみに、激しい運動のあとの数値上昇は、体の炎症反応でもあります。炎症は老化の一因とも言われるので、「強すぎる運動はかえって老化を早めるのでは?」という議論もあります。このあたりは一概には言えませんが、追い込みすぎない、という意味でも、程よい距離感が要るのかもしれません。
自分を知る——数値との、程よい距離感
私はアレルギー体質で、血圧は低く、心拍も遅い。
これは持って生まれた体質、親からの遺伝です。
健康でいられるのであれば、親に感謝です。
コレステロールは低いけれど、善玉も低い。それでも年齢を重ねれば血管は劣化するし、動脈硬化も進みます。運動を習慣化していても、こればかりは、老化には敵いません。
どうすることもできないものは、事実として、素直に受け入れる。40代の頃は、数値に過剰に反応していました。でも今は、過剰に反応しない。かといって、「この数値は改善できないから」と放置するのもダメです。
良い距離感で、数値と——つまり、自分の体と——向き合う。
60歳を前にして、ようやく、そう思えるようになりました。
もうひとつ、余談を。人間ドックは、あくまで「検査」であって、専門医の診療ではありません。症状が出て専門医にかかると、人間ドックの検査の粗さが、よくわかります。病院がやっているドックは信頼性が高い一方、ホテル併設の人間ドック専門クリニックなどは、少し検査が雑……と感じることもあります(決めつけは、良くないですが)。
退職後の、健康診断プラン
退職すれば、ホテルランチ付きの人間ドックは卒業です(ランチだけは、別で行くかもしれませんが)。私の今の計画は、こうです。
- 基礎的な数値は、かかりつけ医で血液検査と尿検査を年1回
- 胃カメラは、2年に1回
- 大腸カメラは、3〜5年に1回
- 腹部エコーは、早期発見のメリットが大きいのでオプションで追加
すべてお任せのフルパッケージで受けるのではなく、「自分に必要な検査を絞り込んで受ける」のが、最も合理的だと考えています。頻度は、主治医と相談しながらコントロールする。
ちなみに、国民健康保険になると、胃カメラなどの検診には、市町村の割引チケット(助成)があることも多いです。お住まいの市町村のホームページを、確認してみることをおすすめします。
最後に——健康資産という考え方
人間ドックを受ければ長生きできる、わけではありません。
大事なのは、出てきた数値と、どれだけ真剣に付き合うか。
つまり、「自分を知る」ことだと思っています。
この年代で、親の介護を間近で見た人は、まだ少ないかもしれません。
私は、親の知人や、親自身の介護を目にする機会が多くありました。
だから、分かることがあります。
80歳で、ベッドから寝返りもできない人。日本は先進医療が充実していて、「生きること」はできます。ただ、それが充実した時間かと問われれば、どうでしょうか。
悪化した数値を放置すれば、それはやがて、
「見えない負債」に変わります。
お金は誰かに相続できても、自分が育てた「健脚」や「血管の若さ」は、誰にも譲り渡せません。自分にしか運用できない、究極のプライベートアセット。
それが、健康資産です。
「10年後の自分が『あの時、投資(行動)しておいてくれてありがとう』と感謝してくれるような選択」を、したいものです。
……と、偉そうに書きましたが、来年の人間ドックでコレステロールがまた微増して「D判定」が出たら、この記事は、そっと読み返さないことにします(笑)。
関連記事:50代でふと気づく「見えない負債」
(私が感じた、人生での違和感を考察した記事です)


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