ライフプラン表とキャッシュフロー表、何が違う?——50代に「絶対必要」な、お金の地図

リタイアメントプラニング

こんにちは、西風スマイルです。

58歳のサラリーマンで、60歳での早期リタイア「FIRA60」を目指して、ブログを書いています。定年まで、あと670日ほど。指折り数える日々です。

今日は、お金のことを真剣に考え始めたときに必ずぶつかる、二つの表について書いてみます。「ライフプラン表」と「キャッシュフロー表」です。

名前は聞いたことがあっても、「で、結局どっちが何なの?」となる方は多いと思います。私もそうでした。この二つ、似ているようで、役割がまったく違います。今日は、まだ作ったことがない方に向けて、できるだけかみ砕いて書いてみます。

先に、結論を言ってしまいます。50代にとって、ライフプラン表は「絶対に必要」だと、私は思っています。

少し強い言い方かもしれません。でも、50代は、定年、年金の受給開始、親の介護、住宅ローンの完済といった、人生で最も大きなお金の転換期が、10年以内に一気に押し寄せる年代です。この嵐の前に、自分の地図を一枚持っておくかどうかで、その後の安心感が、まるで違ってきます。

その理由は、後半でゆっくり書きます。まずは、二つの表が何者なのか、から。

ライフプラン表 ──「人生のイベント」を時間軸に並べる表

ライフプラン表は、ひとことで言うと「これからの人生で起きる出来事を、年表のように並べた表」です。

横軸に「西暦」と「自分や家族の年齢」を置きます。そして縦に、これから起きるであろうライフイベントを書き込んでいきます。

たとえば、こんな具合です(私ごとですが)

  • 2028年・60歳 … 定年退職
  • 2029年・61歳 … リフォーム費用
  • 2033年・65歳 … 車の買い替え(中古)
  • 2038年・68歳 … リフォーム費用
  • 2041年・71歳 … 墓じまい
  • 2047年・77歳〜 … 介護費の積み立て開始
  • 2029年・61歳〜 … 1年ごとに旅行費+遊興費
  • 2029年・61歳〜 … 5年ごとに家電の買い替え
  • 2046年・79歳〜…介護費を計上

ここで大事なのは、まだお金の計算はしないことです。ライフプラン表の段階では、「いつ、何が起きそうか」だけを、淡々と並べていきます。これが、すべての土台になります。

キャッシュフロー表 ── そこに「お金の流れ」を重ねる表

ライフプラン表ができたら、次はキャッシュフロー表です。

これは、さっき並べたライフイベントに「お金」を乗せていく表です。毎年の収入、支出、そして手元に残る貯蓄残高を、年ごとに計算していきます。

  • 収入(給料、年金、配当など)
  • 支出(生活費、イベント費、税金など)
  • その差し引きで、貯蓄残高がどう増減していくか

この表のいちばんの見どころは、一番下に並ぶ「貯蓄残高」の数字です。年を追うごとに、この数字がどう動くのか。増えていくのか、減っていくのか。そして──ここが肝心なのですが──どこかで、マイナスに沈んでしまわないか。

このマイナスに沈む地点こそ、いわゆる「老後破産」のリスクが見える瞬間です。怖い話に聞こえるかもしれません。でも、見えない不安より、見えてしまった数字のほうが、よほど対処しやすい、というのが私の実感です。

順番は「ライフプラン表が先、キャッシュフロー表が後」

ここまで読んでいただくと、なんとなく分かると思います。この二つには、順番があります。

まず、ライフプラン表で「人生に何が起きるか」を並べる。次に、それに合わせて、キャッシュフロー表で「お金がどう動くか」を計算する。

この順番が逆になると、うまくいきません。お金の計算から入ってしまうと、「何のためにこの数字を出しているのか」が分からなくなって、途中で迷子になります。

慣れている人は、二つを同時に行ったり来たりしながら作っていきます。私も今は、ライフプラン表をいじってはキャッシュフロー表に戻り、また直して……という作り方をしています。でも、最初の一枚は、必ずライフプラン表から始めることをおすすめします。

数字にアレルギーがある人へ ── 一言だけ

ここで、正直にひとつだけ。

キャッシュフロー表は、どうしても数字の表になります。エクセルの升目に、数字を打ち込んでいく作業です。数字を見るだけで頭が痛くなる、という方には、ここが最初の壁になるかもしれません。

でも、無理にきれいな表を作る必要はありません。最初は、年金がいくら入りそうか、毎月の生活費はだいたいいくらか、その二つをざっくり並べるだけでも、見えてくるものがあります。一円単位の正確さより、「だいたいの傾向」をつかむことのほうが、ずっと大事です。

それでも数字がしんどい方は、年金事務所の相談窓口や、ファイナンシャルプランナーに、最初の一枚を一緒に作ってもらう、という手もあります。自分ひとりで抱え込まなくていいと思います。

▶ 以前のブログでの具体的な作り方と、その時のエピソードを入れています。財布2つ時代のズレをどう直したか、作り方とコツはこちら → 「FIRA60を実現するための土台|リタイアメントプランを支える「キャッシュフロー表」」

実は、ここまで作っている人は「1割」もいない

少し、データの話をします。

日本FP協会が2024年に行った調査(20〜69歳・2,000人)によると、「ライフプランを考えて、具体的な資金計画まで立てている人」は、わずか9%でした。「考えてはいるが、資金計画までは立てていない人」が18%、「特に考えていない人」が58%。つまり、頭の中で『いつか早期リタイアしたいな』と思う人は多くても、それをシートに落とし込んで、お金の流れまで計算している人は、1割もいないのです。

ほかの調査を見ても、傾向は同じでした。『ライフプランニングをやったことがある』という人は2〜3割いるのですが、その多くは、家を買うときに不動産屋さんに作ってもらった、保険の見直しのときに営業の人に一度だけ作ってもらった、という「受け身」のケース。自分で主体的にシートを作って、定期的に見直しまでしている人に絞ると、もっと少なくなります。

このあたりから、「本当に自分で作って、使い続けている人は、5%くらいではないか」と言われることもあります。『行動に移して、続けられる人は全体の5%』という、よく聞く話とも、ちょうど重なります。

数字の出どころによって多少のブレはありますが、はっきりしていることが一つあります。——自分でキャッシュフローを可視化して、ライフプランシートを作り、使っている人は、日本では上位5〜10%に入る、ということです。

これは、裏を返せば、こういうことでもあります。この表は、作るのが面倒で、続けるのが難しい。だからこそ、ほとんどの人がやらない。でも、だからこそ、やった人には、大きな差がつく。私が「絶対に必要」とまで言うのは、ここにも理由があります。

▶ 「もし、ライフプラン表、キャッシュフロー表を作っていなかったら?」
もう一人の私(シャドウ)の家計を描いて、現実と並べてみました。たった10〜15年で生まれた、数百万円の差の話です → 「もし20年前にあの決断をしていなかったら?私の「シャドウ(影)キャッシュフロー表」を公開します」

なぜ、50代にとって「絶対に必要」なのか

冒頭の結論に戻ります。私が、50代にライフプラン表を強くおすすめする理由は、大きく三つあります。

一つ目は、老後資金の「本当の底」が見えること。さきほど書いた、貯蓄残高がマイナスに沈む地点です。漠然と「お金、足りるかな」と不安に思っているより、何歳のときに、いくら足りなくなりそうなのか。それが数字で見えると、不安の正体がはっきりします。正体が分かれば、手の打ちようがあります。

二つ目は、「今、いくら使っていいか」が分かること。これは、意外かもしれません。キャッシュフロー表を作ると、不安が消えるだけでなく、むしろ「使っていいお金」も見えてきます。将来は真っ暗だと思っていたけれど、計算してみたら、毎年これくらいは旅行に使っても大丈夫だった──そういうことが、分かるのです。実は、先日の北海道の旅で、私が思いきってお金を使えたのも、この表で「ここまでは使っていい」という見通しが立っていたからでした。締めるだけが、家計管理ではありません。

三つ目は、定年後の「働き方のリミット」を、自分で決められること。60歳で完全に辞めるのか、65歳まで再雇用で働くのか、あるいは細く長く働くのか。これは、お金の地図がないと決められません。逆に地図があれば、「自分はこのラインまで働けば、あとは自由にしていい」という線を、人に言われるのではなく、自分で引けます。私がFIRA60という目標を、ふわっとした願望ではなく「あと670日」という具体的な日数で語れているのも、この表があるからです。

私がこの表を作って、感じていること

ここからは、きれいごとではない部分も書いておきます。

私がこの二枚を本格的に作り始めたのは、55歳のときでした。それから3年、いじり続けてきて、思うことがあります。

ライフプラン表とキャッシュフロー表を作れば、すべての不安が消えるかというと、そんなことは、ありませんでした。

正直に言うと、自分の貯蓄残高が年々削れていくグラフを眺めるのは、あまり気持ちのいいものではありません。働いて積み上げてきたものが、これからは減っていく一方なのだ、という現実を、数字で突きつけられるからです。リタイア後のグラフは、基本的に右肩下がり。これを直視するのには、少し勇気が要りました。

それに、この表に並んでいる数字は、しょせんは「今の私の仮定」でしかありません。年金がこの先どうなるか、物価がどう動くか、自分や妻が何歳まで健康でいられるか──本当のところは、誰にも分かりません。先日、長年の夢だった北海道をオープンカーで走り抜けながら、ふと「この体が、あと何年こうして動いてくれるんだろう」と考えたりもしました。表の数字は、その不確かさまでは、教えてくれません。

それでも、私はこの二枚の地図を持っていてよかったと思っています。地図があるからといって、その通りに人生が進むわけではない。でも、嵐の中で、せめて今どのあたりにいるのかが分かる。行き先の分からないまま漂うのと、地図を片手に「たぶん、こっちだろう」と進むのとでは、心持ちが、まったく違います。

50代で作るライフプランシートは、単なる「家計の予測」ではありません。60代から先の人生の自由度を、自分の手に取り戻すための、設計図です。ただ、その設計図の通りに建てられるかどうかは、また別の話で──そのあたりの揺らぎも含めて、これからも、このブログで書いていきたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

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