こんにちは、西風スマイルです。
FIRA60(60歳での、ちょっと早めのリタイア)まで、残り約670日。58歳の会社員です。お金・時間・健康・好奇心・社会資本という「五つの富」を見つめ直しながら、50代からの暮らしを考えています。
今日は、お金でもなく、健康でもなく、でも50代になると急に現実味を帯びてくる話。
日本特有の話かもしれませんが、「お墓」のことを書いてみます。
親のお墓は、当たり前に相続しました
親のお墓を引き継いだとき、私は特に何も考えませんでした。
お墓は長男が継ぐもの。先祖供養は良いこと。そう思って育ってきたからです。
正直なところ、感覚としては「小さな駐車場を一区画、相続したかな」くらいのものでした。
管理費を払って、たまにお参りに行く。それで終わる話だと思っていたのです。
ところが、自分のお墓を調べてみると
あるとき、ふと「このお墓、これからどうなるんだろう」と思って、調べてみました。そこで出てきた数字に、少し言葉を失いました。
- 親が買ったときには数百万円かけたのに、売ることはできない
- 墓じまいの費用は、およそ80万円(私が75歳になる頃には、100万円くらいに上がっているかもしれません)
- 取り出したお骨は、改めて供養する費用が、別にかかる
両親がお墓を買うときは、両親はケンカして購入していました、「いる」「いらん」あれだけ時間やお金がかかったのに、手放すときにも、また時間や手間や大きなお金がかかる。
「これは、いったいいくらかかる買い物だったんだろう」と、初めて思いました。
そして、妻の実家のお墓の話が出てきた
それからしばらくして、今度は妻の実家のお墓の話が持ち上がりました。
遠方にあって、アクセスも良くない。管理費は、たぶん誰かが払ってくれているんだろう。そのくらいの認識でした。
ある日、妻がこう言いました。
「実家のお墓の処分を、ちょっと調べてみたの。そうしたら、急に怖くなって……」
他人事だったお墓が、一気に自分たちの問題として迫ってきた瞬間でした。そこから、私も本気でお墓のことを調べ始めました。
調べて驚いた ── お墓は「相続放棄」できない
いちばん意外だったのは、これです。お墓だけを「いりません」と放棄する、という形は、基本的にできない。
借金や預金、土地といった財産は、家庭裁判所で手続きをすれば相続放棄できます。ところが、お墓・仏壇・位牌などは、法律上「祭祀財産(さいしざいさん)」という別ものとして扱われます。
民法897条では、系譜・祭具・お墓(墳墓)は、慣習や故人の指定などに従って「祭祀を主宰する人」が引き継ぐ、とされています。つまり、預金や借金とは、まったく別ルートで承継される、ということです。
言い方を変えると
借金や財産は相続放棄できる。でも、お墓の管理という問題は、別に残ってしまう可能性がある。
これは、知らなかった人にとっては、なかなかの落とし穴だと思います。
なお、私は法律家ではありません。ここから書くことも、あくまで調べた範囲の一般的な整理です。実際に動くときは、お寺・霊園や、必要なら専門家に確認してください。
「お墓を引き継ぎたくない」とき、現実的にできること
では、引き継ぎたくない場合は、どうするのか。相続放棄という一手では、片づきません。現実的には、次のような対応になります。
- 親族で、誰が管理するかを話し合う
- 墓地・霊園・お寺に相談する
- 墓じまいを検討する
- 永代供養墓・合祀墓(ごうしぼ)にお骨を移す
- 承継者が決まらないときは、家庭裁判所が決めることもある
なお、財産の相続放棄そのものは家庭裁判所での手続きが必要で、原則として「自分のために相続が始まったと知ったときから3か月以内」に判断・申述しなければなりません。ここは期限が短いので、要注意です。
ひとつ、調べていて少し安心したこともあります。公営・民営の霊園であれば、基本は「利用契約の解除」と「お骨をどうするか(合祀墓に移すなど)」という事務手続きが中心で、感情的なトラブルは比較的少ないようです。
気をつけたいのは、お墓が「自分の家の土地にある」のか、それとも「お寺・霊園の墓地使用権」なのかで、実務がだいぶ変わるという点です。特にお寺の檀家(だんか)になっている場合は、管理料・離檀料(りだんりょう)・墓じまい費用などが関わってきます。ここは法律だけの話ではなく、お寺や霊園との契約、そして長年の慣習も、大きく効いてきます。
お墓って、なんなんでしょうね
ここまで調べて、正直、こう思いました。「お墓って、結局なんなんだろう」と。
はじめは、お墓は相続するのが当たり前だと思っていました。先祖供養は良いことだと思ってきました。管理費も墓じまい費用も、必要経費だと思っていました。その気持ちが、消えたわけではありません。
ただ、調べれば調べるほど、もうひとつの思いが大きくなってきたのです。
これは、早めに片づけておいたほうが、息子や娘の重荷にならないんじゃないか。
自分が良かれと思って残したものが、子どもにとっては「遠くて、お金がかかって、でも放棄もできないもの」になってしまう。それは、私の望む「残し方」とは、ちょっと違う気がしました。
もちろん、これは正解のない話です。あなたは、どう思われますか。
データで見る、いまの日本人のお墓
自分の感覚だけで語るのも心もとないので、実際のデータも見てみました。お墓のポータルサイト「いいお墓」(鎌倉新書)の最新調査(第16回・2025年)です。実際に購入されたお墓の種類は、こうなっています。
- 樹木葬 …… 約48.5%(ほぼ半数)
- 一般墓(従来の石のお墓) …… 約17.0%
- 納骨堂 …… 約16.1%
- 合祀墓・合葬墓 …… 約14.6%
墓石に代わって、樹木や草花をシンボルにする「樹木葬」が、もう何年も主流の座にあります。一代限りで、あとあとの管理費がかからない。「跡継ぎ不要」の代表格として、いちばん選ばれているわけです。
ちなみに平均の購入価格は、一般墓が約155万円、樹木葬が約68万円、納骨堂が約79万円。金額の面でも、従来型のお墓は「いちばん高くて、いちばん継ぐのが大変」な選択肢になりつつあります。
数字にハッキリ出ているのは、「継ぐことを前提としないお墓」が、すでに多数派になっているという事実でした。
ネットで見かける、お墓への3つの考え方
終活ブログやSNSの声をのぞいてみると、いまの日本人のお墓観は、ざっくり3つに分かれているようです。
① 墓じまい・永代供養を勧める派(いまの多数派)
「子どもには子どもの人生がある」「遠くに住む子に、墓掃除や管理料の負担をさせたくない」。自分の代で実家のお墓を墓じまいして、永代供養墓(合祀墓)や樹木葬に移すのが“親としての優しさ”だ——というトーンが、いちばん強い主流意見です。
② お墓そのものが不要派(散骨・ゼロ葬/増加中)
「お墓という場所自体がいらない」「死んだら自然に還りたい」。海や山への散骨、火葬場でお骨を引き取らない“ゼロ葬”を考える人が増えています。散骨を「本人の自由」と受け止める人も過半数を超えていて、カタチにこだわらない供養への心理的なハードルは、確実に下がっています。
③ 伝統・心の拠り所を大事にする派(慎重派)
「お墓がないと、故人を偲ぶ場所がなくて寂しい」「先祖からのつながりを大切にしたい」。この声も、確かにあります。ただ、この層でも“石のお墓を無理に建てる”のではなく、自宅に小さな仏壇を置く(手元供養)、家族が集まりやすいアクセスの良い霊園に買い替える、といった、コンパクトな形を探る傾向があるようです。
お墓は「家のため」から「家族を困らせないため」へ
データと、自分自身の心境。その両方を並べてみて、見えてきたことがあります。
お墓の基本的な意味あいが、「家を存続させるためのもの」から、「残された大切な家族を、困らせないためのもの」へと、静かに移っている。
私は今、自分のお墓も、妻の実家のお墓も、いずれは整理する方向で考え始めています。先祖を粗末にしたいわけでは、もちろんありません。むしろ逆で、子どもたちに気持ちよく見送ってもらうための、いまの私にできる「準備」なんだと思うようになりました。
FIRA60に向けて、お金や健康の計画は立ててきました。でも、こういう“見えにくい宿題”も、元気なうちに少しずつ片づけていく。それもまた、時間への投資なのかもしれません。
あなたのお家のお墓は、いま、どんな状態でしょうか。よかったら、一度ご家族で話してみてください。怖がらずに調べてみると、案外、道は見えてくるものでした。
それでは、また。


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