定年前にやるべき「お金の整理」の、その後——55歳と58歳の景色の違い

退職前後のお金

55歳の私は、スプレッドシートを叩き続けていた。

58歳の私は、妻と平日のカフェにいる。

たった3年で、こんなに景色が変わるとは思わなかった。

こんにちは、西風スマイルです。
58歳、サラリーマン歴40年、FIRA60(60歳リタイア)を目指しています。

以前、定年前にやるべき『お金の整理』|本当は6つだけでいいという記事を書きました。

今日は、その記事の続報として、55歳と58歳の景色の違いを書きます。

55歳で「お金の整理」をやり始めた私が、58歳の今、何を感じているか。
整理が終わった後、何が見えてきたか。

定年が近づく方の参考になれば嬉しいです。

 55歳の私は、「シミュレーションの鬼」だった

3年前、私は数字に取り憑かれていました。

退職金は一括か、年金か。
インデックスと日本株の比率は、どうあるべきか。
退職時の現金比率は、何割が妥当か。
4%ルールで取り崩したら、何年もつのか。
暴落が来たら、どう対応するか。

毎晩のように、スプレッドシートを開いていました。

「不安の正体は、数字の曖昧さにある」

そう信じて、徹底的に可視化していきました。

退職金、年金、運用益、生活費、医療費、介護費。
55歳から95歳までを、年単位でシミュレーションしました。

これは、工場の試運転と同じです。

本格稼働の前に、何度もシミュレーションする。
不具合がないか、想定外の動きがないか、確認する。

55歳の私にとって、お金の整理は人生の試運転でした。

55歳が向き合った、4つの「自分探し」

数字だけではありませんでした。

55歳の私は、こんなことも考え続けていました。

① 幸せのコスト探し

理想の生活には、いくら必要なのか。
旅行、趣味、外食、孫へのお小遣い——
「自分の幸せに、値札をつける」作業を、初めてやりました。

② 夫婦の関係

退職後、二人で何時間一緒に過ごすのか。
それまでは「離れていた時間」が長かった夫婦が、1日中一緒にいる生活に耐えられるのか。
今のうちに、夫婦の距離感を考え直す必要がありました。

③ 時間の使い方

仕事を失った時間を、何に使うのか。
退職後の20〜30年を、ぼんやり過ごすのは怖い。
自分をマネジメントする力を、どう養うか。

④ 親や先輩の失敗を、他山の石にする

これが、一番大事でした。

10年、20年後の自分を、今の自分と同じリアリティで想像できるか?

親世代、職場の先輩——
彼らの失敗、後悔、苦しみを、自分のこととして見る

これができないと、人は「将来の自分」を見知らぬ他人として扱ってしまう。
そして、今の楽しみを優先して、未来の自分を裏切る。

55歳の私は、未来の自分との対話を、必死にやっていました。

(関連記事:幸せのコストを知る|「なんとなくの支出」から抜け出すお金と時間の使い方
・あなたも自分の幸せのコストを探してみませんか?

58歳の私は、「お金を使う練習」を始めている

そして58歳。

私は今、お金を使う練習をしています。

具体的には——

・旅行の予算を、大胆に立てるようになった(思い出作りのため)
・妻との時間に、お金と時間を使うようになった
・5月、人生初の北海道ツーリングに出る
・平日のカフェ、外食、二人での小旅行

55歳の私が見たら、驚くと思います

あんなに「お金を守る」ことばかり考えていた私が、
使うことに意識を向けている

実は、これは意識的な変化でもあります。

55歳の時、気づいたことがありました。
「お金を貯めるだけでは、人生は豊かにならない」

数字を眺めているだけでは、幸せは生まれない。
シミュレーションが完璧でも、それは準備にすぎない。

準備が終わったら、本番が始まる

58歳の私は、その本番に、ようやく入り始めています。

「幸せのコスト」の答え合わせ

55歳の時、私は「幸せのコスト」を計算していました。

「これくらいあれば、こういう生活ができるはず」
「この金額なら、この旅行に行けるはず」

理論上の数字でした。

58歳の今、その答え合わせをしています。

実際に、お金を使ってみる。
そして、何が本当に幸せだったかを確認する。

わかってきたことが、いくつかあります。

① 高いものが、幸せとは限らない

高級レストランより、妻と行く近所のカフェの方が、幸せを感じる時がある。

② 「思い出への投資」は、リターンが大きい

旅行の予算を、思い切って立てるようになりました。
帰ってきた後の「行ってよかった」という感情は、お金以上の価値があります。

③ 妻との時間は、コストパフォーマンスが最高

平日のカフェ、二人での小旅行——
それほど大きなお金を使わなくても、幸せの密度が高い。

そして、一番大事な気づき。

予算を立てることは、自分を縛ることではない。
安心して楽しむための「許可証」です。

家計管理ができているからこそ、罪悪感なくお金を使える
これが、3年かけて辿り着いた答えでした。

それでも、家計管理が根本にある

ただし、勘違いしてはいけません。

「お金を使う練習」は、家計管理の上に成り立つものです。

予算を立てて、使う範囲を決めて、その中で楽しむ。
無計画にお金を使うこととは、まったく違います。

55歳で築いたシミュレーション能力があるからこそ、
58歳で安心してお金を使えるのです。

シミュレーションをスキップして、いきなり「使う練習」をすると、
ただの浪費になります。

順番が大事でした。

そして、家計管理は今も続いています

毎月の支出を確認し、年間予算を立て直し、資産の動きを見る。
これは、退職した後も、たぶん一生続けていく作業です。

家計管理は、マネジメントの基本動作だから。

振り返ると、すべてが「線」で繋がっていた

58歳で「お金を使う練習」を始められたのは、なぜか。

最近、ふと振り返って気づきました。

これは、58歳の私が、いきなり始めたことではなかったのです。

過去を辿ると、いくつかの小さな決断がありました。

48歳——投資の再開

会社の自社株購入をきっかけに、NISAを知り、インデックス投資を始めました。
あの一歩がなければ、今の資産は積み上がっていなかった。

50歳——家計のシンプル化

私と妻、別々に管理していた家計を、一つにまとめたのがこの時でした。
「夫婦で同じ未来に向かうなら、家計も一つにしないと、見えない」
そう思って、決断しました。
これが、お金の流れを「見える化」した最初の一歩でした。

55歳——徹底したシミュレーション

スプレッドシートで未来を計算し、不安を可視化しました。
「不安の正体は、数字の曖昧さにある」と気づいたのも、この時。

そして、58歳。

これらが、一本の線として繋がっていることに気づきました。

48歳の投資再開がなければ、55歳でシミュレーションする資産がなかった。
50歳の家計統合がなければ、夫婦の未来を一緒に描けなかった
55歳のシミュレーションがなければ、58歳で安心してお金を使えなかった。

点と点が、線になっていた。

そして今、その線の先で、私は「お金を使う練習」をしている。

48歳の私は、まさかこんな未来が来るとは思っていませんでした。
50歳の私も、55歳の私も、それぞれの瞬間で必死だっただけです。

でも、振り返ると、全部が必要なステップだった。

これから「お金の整理」を始める方へ。

一度に全部やる必要はありません。
一年に一つ、何かを変えるだけでいい。

それが、10年後の自分を作ります。

結論:50代の「お金の整理」は、使うための準備だった

「定年前にやるべきお金の整理」の、本当のゴールは何か?

3年経って、わかりました。

シミュレーションを完成させることが、ゴールではない。
整理した数字を信じて、お金を使い始めること。

これが、本当のゴールです。

私は今、その入り口に立っています。

55歳の私には、見えなかった景色。
3年かけて、ようやくここに来ました。

そして、もう少し先へ。

60歳までに、もっとお金を使うのが上手になりたい。

「貯める」から「使う」へ。
「シミュレーション」から「実践」へ。

これが、私が今、自分に課しているテーマです。

最後に、これから「お金の整理」を始める方へ。

数字の整理が、ゴールではありません。
整理が終わった後、本番が始まります。

55歳で土台を作り、58歳で使い始める。
このリズムが、たぶん一番自然です。

そして、ぜひ知っておいてほしいこと。

お金の整理は、貯めるためではなく、安心して使うために、するものです。

(関連記事:定年前にやるべき「お金の整理」|本当は6つだけでいい
・この整理がなければ58歳のステージに立てなかった

(関連記事:幸せのコストを知る|「なんとなくの支出」から抜け出すお金と時間の使い方
・あなたも自分の幸せのコストを探してみませんか?

(関連記事:FIRA60を決断できた2つの資産
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