人の財布の中身は、気になる——資産額を聞くな。その代わり、順番の話を

FIRA60ー退職

こんにちは、西風スマイルです。

FIRA60(60歳での、ちょっと早めのリタイア)まで、残り約580日。59歳の会社員です。

今日は、お金の話です。

60歳で辞めると公言してから、会社の若い子に、ときどき聞かれるようになりました。

「西風さん、資産って、いくらあるんですか?」

人の財布の中身は、気になるものです。私も、正直、気になります。

でも今日は、金額の話はしません。その代わりに、もっと大事だと思っている話をします。

三人に聞かれて、三通りに答えた

これまでに、たぶん三人に聞かれました。

一人目は、雑談の途中で、突然でした。たぶん興味本位だったと思います。

「そんなの、知っても仕方ないよ。人の財布の中を知っても、良くないよ」

そう答えて、終わりにしました。

二人目の聞き方は、少し違いました。

「早期退職するには、どんな資産を、どれくらいの比率で持っていればいいんですか?」

これは、鋭い聞き方です。金額ではなく、中身と配分を聞いている。

だから、この子には、比率だけは答えました。投資信託と、日本株と、現金を、だいたいこのくらいの割合で、と。

三人目には、こう言いました。

「そんな事、聞くな」

……この話は、また最後にします。

▶ 私の資産の比率は、こちらに書いています → 「59歳、私の日本高配当株投資——配当は嬉しい。でも、売るのは難しい」

聞いても、「へ〜」で終わる

金額を聞いて、どうなるのか。

たぶん、「へ〜」の一言で終わります。

金額というのは、結果です。何十年分の、いろいろな選択が積み重なった結果。

その数字だけを聞いても、自分に当てはめようがありません。

聞いた側は、比べて焦るか、比べて安心するか。どちらにしても、明日からの行動は、たぶん変わらない。

だから、このブログでも、金額の話はなるべく控えるようにしています。

若い頃の私も、金額を聞いていた

ただ、偉そうなことは言えません。

20代、30代の頃の私には、そもそも「資産」という考えがありませんでした。退職のことなど、意識したこともない。

聞いていたのは、退職金の額と、ボーナスの額です。

つまり私も、金額を聞いていたわけです。

それに比べると、今の若い子たちは、ずっとよく知っています。

給料と資産は違う、ということを分かっている子も多い。もちろん、人それぞれではありますが。

ただ、ひとつだけ思うことがあります。

資産というのは、それ自体が利益を生むものです。そして、どれだけ積み上がるかは、給料の多さより、毎月いくら入れられるか(入金力)と、どう運用するかで決まってくる。

そこまで実感として分かっている子は、まだ少ないのかもしれません。

だとすれば、本当に聞くべきなのは、金額ではない。

毎月、どういう順番でお金を分けているか、です。

金額は言いません。その代わり、順番の話を

お金を貯める方法は、突き詰めると、二つしかないと思います。

使って、余ったら貯める。

先に取り分けて、残りで暮らす。

同じように見えて、結果はまるで違います。余ったら貯めるやり方だと、たいてい余りません。

昔から、同じことを言っている人がいます。

『バビロンの大富豪』という古い本には、「収入の十分の一を、自分のものとして取っておけ」という教えがあります。

明治から昭和にかけて大きな財産を築いた本多静六は、収入の四分の一を天引きで貯金していたそうです。……上には上がいます。

「使った残りを貯めるのではなく、貯めた残りを使え」という言葉も、バフェットの言葉としてよく引用されます。

言い方は違っても、どれも順番の話です。

私の先取りは、本給の5%から

では、私はどうしていたのか。

始まりは、結婚して子どもができた頃です。ボーナスは、無いものとして暮らすことにしました。

そして、転職をきっかけに、最低限の積立を始めました。本給から、5%の天引きです。

5%。たいした額ではありません。

そのうえで、残業代とボーナスは、できるだけ残す。

本給の9割で暮らす。それが目標でした。あくまで、理想ですが。

本給の9割で暮らすということは、十分の一を残すということです。気づけば、バビロンの大富豪と同じ数字でした。

この考え方は、その後も続いています。管理職になった時は、増えた手当を「幻の給料」と思うことにして、生活の水準を上げませんでした。今も、残業代は生活費に入れず、投資に回しています。

▶ 管理職時代の「幻の給料」の話は、こちら → 「管理職昇進——答えのなかった数年間の話」

苦しい時も、5%だけは止めなかった

ずっと順調だったわけではありません。

いちばん厳しかったのは、教育費と住宅ローンが重なった時期です。

正直に書きます。あの数年間、残業代は、ほとんど教育費に消えました。

全部を守れたわけではない。

それでも、本給の5%の天引きだけは、止めませんでした。ボーナスも、なんとか残せた。

止めなかった理由は、たぶん単純です。天引きだったからです。

一度止めたら、もう一度始めるのは、ずっと難しい。だから、最初から手の届かないところに置いておく。

先取りの本当の効き目は、そこにあるのだと思います。

積小為大——小を積みて、大と為す

二宮尊徳の言葉に、「積小為大」というものがあります。

小さなことを積み重ねて、大きなことを成す。

5%というのは、本当に小さな数字です。毎月の給与明細を見ても、何かが変わった気はしません。

積んできてよかったと、はっきり実感したのは、住宅ローンを完済した時でした。

止めずにいた小さなものが、ある日、気づいたら大きなものになっていた。

以前の記事で、私の資産は50歳くらいまで、ほとんど横ばいだったと書きました。それでも積み続けて、ある時から、雪だるまのように転がり始めた。

小さな積み重ねは、最初のうちは、ほとんど何も起きないように見えます。

それでも、止めないこと。

金額を聞くより、たぶん、こちらのほうがずっと役に立ちます。

▶ 50歳まで横ばいだった資産の話は、こちら → 「55歳ローン完済 × 60歳退職——FIREブログで見かける「50代からのV字回復」の正体」

おわりに

次に、若い子に資産額を聞かれたら、こう答えようと思っています。

「金額より、毎月、先にいくら取り分けてるかのほうが、大事やで」

言ったところで、たぶん「へ〜」で終わるのでしょう。それでいいと思っています。いつか自分で気づいた時に、思い出してもらえれば十分です。

……と、偉そうに書きましたが。

三人目には、「そんな事、聞くな」と言ってしまった私です。

順番の話をする前に、まず、言い方の順番を考えたほうがよさそうです。

それでは、また。

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