こんにちは、西風スマイルです。
FIRA60(60歳での、ちょっと早めのリタイア)まで、残り約610日。59歳の会社員です。
定年間際になると、こんな問いが、ふと頭をよぎることがありませんか。
これから、あと何年遊べるんだろう。
あと、何ができるんだろう。
そもそも俺は、一体何が好きなんだろう。
最後の問いが、いちばん厄介です。
40年も働いてきて、自分が何を楽しいと思うのかが、はっきり言えない。
今日は、その自己分析をどうやったか、という話です。
飲み屋で、元同僚が驚いた
退職者のブログを読んでいると、よく目にすることがあります。
会社という社会的なインフラを去って、自由になったはずなのに、
その自由——望んでいなかった「暇」を、受け入れられない。
そういう声が、思っていたより大きいのです。
半年ほど喪失感が続く、という話も読みました。
時間はあるのに、何をしていいか分からない。
読みながら、他人事とは思えませんでした。
610日後の私が、そうならない保証はどこにもありません。
先日、ひと足先に退職した元同僚と飲みに行った時、その話になりました。仮に、Tさんとしておきます。
そこで私は、こんな話をしました。
AIに、自分が何を楽しいと思うのか、質問させるんです。そこから思い出すんですよ、と。
Tさんは、少し驚いたようでした。
AIに「質問させる」という発想が、無かったようです。
その反応が、私には意外でした。だから今日は、この話を書いておこうと思います。
みんな、AIに「答え」を聞いている
自己分析の方法は、いろいろあります。カウンセラーに聞く。本を読む。
そして最近は、AIがあります。
ただ、使い方に迷いませんか?
どう聞けばいいんだろう。変なことを教えられて、AIに洗脳されたら嫌だな。
……そんな馬鹿なことまで考えます。
AI依存症、という言葉も耳にしますし
私も最初は、普通に使っていました。調べ物をさせる。文章を整えさせる。要約させる。
つまり、答えを聞いていたわけです。
でも、いちばん効いた使い方は、それではありませんでした。
答えではなく、質問を出させることです。
自分を見つけるのは、AIではなく自分
ここが大事なところなので、先に書いておきます。
深掘りするのは、自分です。AIではありません。
AIは、思い出すためのヒントをくれるだけ。
40年押し込めてきた思いを引っ張り出すのは、本人がやる作業です。
自分で自分の深層心理に潜って、記憶を読み戻す。そこで出てきたものが、自分の答えになる。
だから、洗脳される心配は、あまりしていません。AIが答えを出しているわけではないからです。
そして、これが意外に面白い。
丸裸の自分と出会える作業です。
小さい頃に諦めた夢。
若い頃の楽しかった思い出。
今まで現実を真面目に歩いてきたから、ただ隠れていただけのもの。
もう、隠さなくていいのです。
痛みを呼び起こす質問
実際にやってみると、なかなか痛いところを突かれます。
いちばん「うっ」と思ったのは、これでした。
仕事に逃げ込んでいるだけではないですか——という指摘です。
やりたいことがあるのに動かないのは、遊び方を考えるより、働くほうが慣れていて楽だから。そう言われました。
違う、と言いたかった。
仕事は言い訳ではありません。今は仕事が生活の土台で、情熱も注いでいる。誰かの手助けができるのは、素直に嬉しい。
でも、その反論を書きながら、自分で気づいてしまったのです。
私は「ルーティン」に逃げ込んでいる。
仕事が嫌だと言いながら、日常の決まった流れの中にいると安心する。新しいことをしたいと言いながら、自分のルーティンから出られない。
AIに言われて腹が立ち、反論しようとして、自分を外側から見ることになった。
あれは、痛かったけれど、いちばん収穫のある質問でした。
外れた仮説のほうが、面白い
面白いのは、AIの仮説が的外れな時です。
バケットリストの記事を書いた時、AIは四つの仮説をぶつけてきました。そのうち二つは、はっきりハズレでした。
「やりたいことを退職後の楽しみとして温存しているのでは?」——違います。
「退職という許可を、誰かからもらうのを待っているのでは?」——これも違う。
許可証は他人がくれるものです。私は自分で決めたい。
この「違う」と言いたくなる時に、いちばん自分の言葉が出てきます。
当てられると、「まあ、そうかな」で終わる。
外されると、「そうじゃない、こうだ」と説明したくなる。
だから、AIの精度は、実はそれほど重要ではないのです。
なぜ、AI相手なら話せるのか
ここが、今日いちばん書きたかったところです。
正直に言って、自分の心の内を書き出すというのは、50代・60代の男性には恥ずかしい作業だと思います。
私も、ついこの間まで、そうでした。ジャーナルを書くなんて、何なんだよ、と。
では、なぜAI相手だと書けるのか。
見栄を張る必要が、ないからです。(誰も聞いていないのだから、何を書いても良い)
がっかりされる心配もない。評価もされない。噂も広まらない。同じことを妻や友人に聞かれたら、たぶん私は照れて、茶化して終わっていたと思います。
「あなたが本当にやりたいことは何ですか」なんて、飲み屋で真顔で聞かれたら、答えられません。
AIには、それが言えるのです。
情けない理由ですが、これが本当のところです。
そして、一度書き始めると、案外面白い。
きっかけは、自分のキャリアジャーナルを書いてみたことでした。
認めたくない自分の部分や、意外な仕事への向き合い方が出てきた。
年齢を重ねたぶん、書き出す経験の蓄積もある。
最初は、文章にするのに手間取りました。でも、それも要らなかったのです。
言葉の切れ端でいい。箇条書きでいい。
あとは、AIがまとめてくれます。
実際の手順とプロンプト
では、どう頼めばいいのか。私のやり方は、3段階です。
【第1段階】質問だけを出させる
まず、これを投げます。
私は50代の会社員です。定年後の時間の使い方を考えたいのですが、自分が本当に何を楽しいと思うのかが、うまく言えません。
そこで、答えやアドバイスは要りません。私に質問だけしてください。
・過去の具体的な場面を思い出させる質問を、5〜7個
・一般論ではなく、「その時どう感じたか」を聞く質問にしてください
・答えにくい質問も、遠慮せず入れてください
ポイントは、「答えは要らない、質問だけしてくれ」と最初に言い切ることです。
これを言わないと、AIは親切に答えを出してきます。
「趣味を見つけましょう」「まずは小さく始めましょう」
——そういう、どこかで読んだような助言が返ってくる。
それでは意味がありません。私が欲しいのは、私の記憶の中にあるものですから。
【第2段階】答えて、また質問させる(初めは1回でもOKです)
5〜7個の質問に、思いつくまま答えます。文章にしなくていい。箇条書きで、言葉の切れ端で十分です。
すると、その答えを受けて、AIがまた次の質問を返してきます。
ここが大事なところです。1回では、まだ浅い。
1回目は、事実を思い出す段階です。2回目で、その時どう感じたかが出てくる。私の場合、本音が出てくるのは、たいてい2回目か3回目でした。
面倒でも、この往復を続けてください。
【第3段階】分析させて、仮説を立てさせる
素材が出揃ったところで、はじめてこう頼みます。
ここまでの私の答えを分析して、仮説を3つ立ててください。
当たっていなくても構いません。私が「違う」と反論できるような、踏み込んだ仮説にしてください。
順番が大事です。
いきなり仮説から入ると、材料が無いので、当てずっぽうになります。よくある一般論が返ってくるだけです。
私の答えを一通り聞いたあとだからこそ、AIは踏み込んだ仮説を出せる。そして踏み込まれるから、こちらも「違う」と反論できる。
先ほど書いた通り、反論する時にこそ、自分の言葉が出てきます。
もっとも、やり方が決まっているわけではありません。最初は、1回だけ答えて、すぐ分析させてもいい。何度か試すうちに、自分に合う回数が見えてきます。
いつ、どうやってやるか
私の場合は、ブログを書く前に使っています。
特に、過去の体験を書く時です。
自分では心の奥底にしまってあることを、引っ張り出す必要がある時。
入力は、メモアプリに文字で打っています。走りながら思いついたことも、あとでメモにまとめます。
ただ、正直に書いておくと、記憶を呼び起こすのには、少しコツが要ります。
それは、ただ質問に答えるのではなく、自分で深いところまで潜ることです。
AIからは、時にきつい質問も来ます。それに向き合う勇気も要ります。
思い出すと、当時の嫌な気分や、あの日の空気や、味まで一緒に戻ってきますから。
……まあ、それも全部、自分の人生なんですけどね。
おわりに
退職して半年、喪失感が続くという話を思い出します。
あれは、時間が余ったことの問題ではなく、自分が何を楽しいと思うのかを、思い出せないことの問題なのかもしれません。
40年、押し込めてきたからです。
だとしたら、掘り出す作業は、退職してから始めるより、今のうちにやっておいたほうがいい。
飲み屋でTさんに話したのは、そういうことでした。
AIは、そのためのスコップです。掘るのは、自分です。
……とはいえ、59歳のオヤジが、機械に向かって自分の本音を打ち込んでいる姿を、想像してみてください。
なかなか、間抜けな絵ではありますけどね。
それでは、また。


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